先月受けた心エコーの結果は、1年ほど前の結果と比較しなくても、病状が進行しているであろうことは予想できるものでした。バロンは「肥大型心筋症 ステージB2」に進行していました。セカンドオピニオンで受診した病院での検査だったのですが、検査報告書の計測値も細かく記載され、担当のO先生の説明はとても丁寧でした。
O先生は、他院の循環器専科の研修医としても活躍されている様です。最新の情報やアドバイスを期待し、これまでの経緯を伝え、相談させていただきました。
肥大型心筋症の治療といえば、投薬治療が基本であるのにも関わらず、しっかり飲ませられていないことを、正直に伝えました。
わが家のバロンは、2歳に心雑音の指摘を受け(現在5歳11ヶ月)、肥大型心筋症「ステージB1」と僧帽弁閉鎖不全症と診断されています。その頃から、かかりつけの病院で、血栓予防薬「クレピドグレル」とβ遮断薬「アテノローム」を処方されていたのですが、薬の苦味が強く、どんなに工夫をしても飲ませ続けることは困難でした。投薬によるストレスさえも留意しなければならないのが、心臓病の難しいところです。神経質なバロンは、投薬を嫌がって食事を拒否することもあり、しっかり飲ませられずに、もう3年も過ぎてしまいました。
O先生によると、昨今、「アテノローム」などのβ遮断薬においては、投薬の有無による猫の余命に、ほとんど差が見られないことが判ってきたとのことでした。ですから、無理して飲ませなくても良いのではないかとのアドバイスがありました。先生は、猫と飼い主の双方に与える投薬時のストレスを懸念されている様子でした。
猫の心筋症は、血栓の予防が肝心です。
肥大型心筋症は左心室の肥大に比例して血栓症のリスクが増します。血栓症を患ってしまった猫の予後は非常に悪く、発症後は数日後から半年ほどで亡くなるケースが多いとか。苦味の強い「クロピドグレル」は、血栓予防薬としてはポピュラーな薬で、できる限り飲ませたいのですが、飲んではくれません。
そこで自主的に、血栓予防で評価の高い「ハートアクト」というサプリメントを飲ませていましたが、あくまでサプリメントはサプリメント。補助的な効果しか期待できないことに対する漠然とした不安がありました。
O先生から、「イグザレルト(=リバーロキサバン)」という血栓予防薬の存在を教えていただきました。「クロピドグレル」はポピュラーな血栓予防薬だけれども、苦味が難点です。「クレピドグレル」の二番手として使用されるのが、この「イグザレルト」だそうです。チャレンジするかしないかは、飼い主の判断に任せるとのこともあり、念の為、主治医のS先生にも相談してから決めることにしました。
検査結果を主治医のS先生に連携したところ、病状に確かな進行が見られるため、「強制投薬」の提案を受けました。O先生の仰しゃる「イグザレルト」は、残念ながらS先生の病院にはありません。「次回はクレピドグレルとアテノロームの強制投薬の方法を練習しましょう」とS先生から提案をいただいたものの、バロンには不向きだと感じました。
神経質なバロンに強制投薬を実施したら最後、毎日の食事時間には隠れんぼがはじまり、最悪は食事を拒否することになるのでは・・と不安になります。病気の進行を遅らせて、少しでも元気で長生きしてほしいと強く願うものの、ストレスを与えてQOLを下げることは避けたいものです。
今年に入って、バロンに合う投薬用のトリーツがやっと見つかり、サプリメントも毎朝欠かさず飲ませることができる様になったのは本当にラッキーでした。悩みに悩んだ末、「イグザレルト」をトリーツで与えてみることにしました。もし、トリーツでダメなら、強制投薬も視野にいれなければなりません。この薬が苦い薬でないことを祈るばかりでした。
O先生に早速連絡し、「イグザレルト」をとりあえず1週間分いただきました。お気に入りのトリーツで食べてくれるかのチャレンジが始まりました。
いつものように、「ビオナチュレ」のスプラット味に「イグザレルト」1/4を粉にして混ぜ、そこにいつものように「パンフェノンS」2錠と「ハートアクト」1錠、「モエギタブ」1錠を粉にして入れ、よく混ぜます。
ビオナチュレ 投薬補助トリーツ 猫用 食べ比べセット(スプラット・鮭) 10g×各5本※お1人様6セット限り
わが家のバロンはとても疑い深いので、ちゅ〜るタイプのものをお皿に出すと食べてくれないことが多いのです。ですので、できる限りちゅ〜る状のトリーツは、袋のまま与えるのがベスト。トリーツを開封したてのように装い、なんとか「イグザレルト」も他のサプリメント同様に飲んでもらうことができました。
「イグザレルト」を飲ませることができたとき、心からホッとしました。まさか、悩みの種となっていた「クレピドグレル」の代替薬が見つかるなんて、正直思ってもいなかったのですから・・感動しました。喉のつかえが無くなったようなそんな気持ちです。1日あたりの処方量がとても少量で済むことと、トリーツの味を邪魔するような苦い薬ではなかったことが、本当にラッキーでした。
今、二週目の投薬に突入しています。
思い切ってセカンドオピニオンを受け、納得がいくまで先生に質問し、相談して本当に良かったと思っています。これで絶対に血栓症にならない・・という保証はどこにも無いけれど、それは、どの薬を飲んでも同じこと。人も動物も、セカンドオピニオンを受けることや、諦めないこと、とことん納得がいくまで情報収集することは本当に大切だと思います。
もし、このブログを読んでくださっている方の猫ちゃんが、心筋症の投薬治療で苦しんでいるなら、「イグザレルト(=リバーロキサバン)」や他の代替薬について主治医に聞いてみると良いでしょう。人間のお医者さんも獣医さんも、ガイドラインに則った王道の治療を提案するのが当たり前です。でも、その治療が全ての猫ちゃんや飼い主さんに合っているかどうかは、また別問題だということを飼い主が忘れないようにすることが大切だと思います。
どうしても、治療薬もその病院にあるものでしか提案されませんから、そういった意味でも、セカンドオピニオンで他の先生からアドバイスして貰うのも、実は必要なのかもしれません。
猫は、ヒトの何倍もの速さで老化し、短い一生を終えるものです。
1日1日を、彼らが心地よく健康に、穏やかに過ごせる様に、私たち人間ができることを精一杯してあげなければと思っています。
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