あなたのお猫さまは、マタタビ派ですか?それともキャットニップ派でしょうか?
猫がうっとり夢中になる「マタタビ」と「キャットニップ」。
愛猫のためになんとなく常備してあるというご家庭も少なくはないでしょう。
当店でも「またたびOTEDAMA(お手玉)」や「またたび飴玉」などの商品を販売していますが、愛猫への特別なプレゼントとして購入される方が多いアイテムです。
日本では「猫にマタタビ」という諺があるくらい馴染みのある和製ハーブですが、海外ではあまり知られておらず、同様に猫を恍惚とさせるハーブとして「キャットニップ」を使ったアイテムが主流です。
マタタビ入りのおもちゃもキャットニップ入りのおもちゃも、日本ではペットショップを覗けば大抵売られています。正直、どちらも同じようになものだと思っていませんか?
それぞれの違いや効能、与えるときの注意点、愛猫のQOLアップに上手に活かす使い方をご紹介します。
マタタビとは?
「そもそも、マタタビって何?」という方のために簡単にご説明しましょう。
「マタタビ(木天蓼)」は別名「ネコナブリ」とも言われる落葉つる性の植物です。
日本は北海道から九州まで分布し、海外は東アジアで山地の林縁などに自生しています。またたびは、白く可愛らしい花を咲かせるのですが、その花が咲く頃に、花の中心にある子房に「マタタビノアブラムシ」という昆虫が産卵をします。産卵された子房は虫こぶ状に成長し、これを「虫えい果」といって昔から人の漢方薬として重宝されてきました。
果実は塩漬けにし、虫えい果は果実酒や漢方として利用されます。
(参照:樹木図鑑 https://www.jugemusha.com/jumoku-zz-matatabi.htm)
マタタビによってネコ科の動物は酩酊状態になりますが、その原因は「マタタビラクトン」という成分がネコ科の動物の中枢神経に作用するためです。またたびの成分には「マタタビラクトン」、「アクチニジン」、「β-フェニルエチルアルコール」の3つがあり、「β-フェニルエチルアルコール」はバラのような香りがします。
また、猫がまたたびに反応する生物学的な意義は、うっとりとした幸福感を得るためだけではなく、蚊を避けて身を守るためだという研究結果も発表されています。
またたびの葉から「ネペタラクトール」という化学物質が放出され、蚊を寄せつけない効果があるようです。(参照:河北新聞2022/6/21「ネコにマタタビ→幸福感と蚊よけの効果 岩手大チーム習性解明」)
蚊は猫にとっても大敵です。蚊が媒介して発症するフィラリア症は罹患すると命を落としかねない恐ろしい病気です。
ネコ科の動物はフィラリア症などの感染症から身を守る術を、進化の過程で身に付けたのかもしれません。
有効成分が多いのは「マタタビの実」?それとも「虫えい果」?
「マタタビの実」を見ると、ミノムシを思い出すのは私だけでしょうか?
小さくで少し縦に長い茶色の塊が実です。ペットショップでは、小さなボトル入りのものや、小袋に入って売られているのをよく見かけます。一方で、「虫えい果」が丸い塊のまま販売されているのは見かけません。その代わりペットショップでは虫えい果を粉末状にしたものがよく売られています。
マタタビに含まれる猫に有効な成分は、実よりも虫えい果に多く含まれます。
そのため、マタタビの実よりも虫えい果の方が猫の反応はが良い場合が多いようです。虫えい果を粉末にして練り込んだ猫用スナックや、猫用の歯磨きバーに粉末をコーティングした商品もあります。
これらを使ったスナックや歯磨き効果のあるアイテムもいくつかご紹介しておきましょう。
「またたび玉」は歯磨き効果も期待できるスナックなの。味もいろいろな種類があるわ。虫えい果の純粉末を練り込んであるのよ。
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「またたびの実」がそのままボトルに入ったコメットの「またたびの実」。大きい実は割って与えた方がよいわね。噛むことで歯磨き効果も期待できそうね。
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当店オリジナルの「またたびOTEDAMA」や「またたび飴玉」、「MATATABI KARI×KERI」(またたびキッカー)もこの「虫えい果」を使用しています。
ミノムシ型のマタタビの実や粉末を用いるよりも、虫癭果を丸い塊のまま使用することで香りや効果が長持ちします。
マタタビの効果
人の漢方薬としても用いられる「マタタビ」。
名前の由来は諸説あるものの、疲れた旅人が再び旅ができるようにと好んで食べたため「又旅」と書いて「マタタビ」と言うのだそうです。疲労回復、滋養強壮、冷え性改善、神経痛の緩和などの効能があり、利尿作用のあるポリガモールなどの成分も含まれ、浮腫み改善の効果も期待できます。
猫にとってのマタタビは、先にご紹介したように蚊避けの効果もありますが、マタタビラクトンの成分により、食欲促進やアンチエイジング、運動不足解消やストレスの解消に効果が期待できるようです。
マタタビに含まれるマタタビラクトンやアクチニジンなどの成分は、脳の中枢神経を刺激して一時的に軽い麻痺状態になるため、猫は恍惚としたり酩酊したような動きを見せたりします。
マタタビを用いたフードやおもちゃを噛んだり追いかけたりすることで、運動不足の解消にもつながり、結果的にアンチエイジング効果も期待できるのです。
人間はストレス解消にお酒を飲むんだり、チョコレートなどの甘いものを食べたりしますが・・・なんだかちょっと似ていますよね。
キャットニップとは?
キャットニップの和名はイヌハッカです。
女性に嬉しい月経前症候群の治療効果が期待できるハーブで、お茶にして飲むと緊張がほぐれ、睡眠不足の改善やリラックス効果が期待できるほか、腸内に溜まったガスを取り除く効能を秘めた女性に嬉しいハーブです。
わが家でも庭で育てたキャットニップは、猫たちのためだけでなく、おやすみ前のハーブティとして活用しています。キャットニップの歴史は古く、ローマ時代からすでに利用されていたようです。
キャットニップの「ニップ」は、「噛む」という意味です。直訳すると「猫が噛む」になりますが、その名の通り、猫が好んで噛む様子から付いた名で、別名はキャットミントとも呼ばれます。
キャットニップに含まれるネペタラクトンという成分は、猫のフェロモンに似た構造をしているようで、猫が噛むとうっとりしたり、活発に動き回ったりするのはそのためだとか。
またたびに含まれるマタタビラクトンもキャットニップに含まれるネペタラクトンも、イリドイド化合物といわれる物質で、猫を含むネコ科の動物がこの成分に対して同じような反応を示します。
キャットニップの効果
キャットニップもマタタビと同じように、猫のストレス解消や運動不足の解消への効果が期待できるハーブです。
乾燥した葉をおもちゃに詰めたり、爪研ぎなどに振りかけて与えます。マタタビよりも効果が柔らかく長持ちしにくいため、マタタビに比べると反応が弱い猫もいるようです。
猫のフェロモンに似た構造のネペタラクトンにより、効果が期待できるのは思春期を迎えた成猫だけのように思われますが、フェロモンを感知するヤコブソン器官がない猫でもキャットニップに対する反応は変わらないということが、近頃は明らかになっているようです。
依存性や危険性は?安全に与えるための注意点
ネット情報を見ていると、またたびは危険でキャットニップは安全だとする誤った記事が散見されます。
香りの長持ち度合いや、猫の反応の強弱から、キャットニップの方がマタタビよりも反応が弱く、香る時間も短いという理由で、マタタビは危険でキャットニップは安全だと結論付けるのは少々強引ですよね。
むしろ、キャットニップには子宮への刺激作用があり、妊婦は避けた方が良いということは、子育て経験のある女性ならご存知の方も多いでしょう。それは猫にとっても同じです。
キャットニップによる猫の子宮への刺激作用が認められており、妊娠中の猫には注意したほうが良いでしょう。キャットニップのような子宮への刺激作用は、またたびでは報告されていないようです。
また、ラットを使った実験で、キャットニップは発作が起きやすくなるという研究結果があることから、AVMA(アメリカ獣医療協会)は、てんかん発作をもっている猫には使用しない方が良いと注意を促しています。
キャットニップに中毒性はないと考えられていますが、だからといって全ての猫に対して安心とは言い切れません。妊娠中の猫や、てんかん発作もちの猫、喘息やアレルギーなどで発作を起こしたことがある猫に対しての使用は避けたほうが良さそうです。
マタタビには呼吸中枢を麻痺させる作用があるとし、危険だとするネット情報がありますが、科学的根拠をもった事例報告はないようです。むしろ、マタタビの枝や実の誤飲による喉や胃の詰まりのほうが注意すべきです。
大量に摂取すれば、薬も毒になるのと同じで、キャットニップもマタタビも適量を守って与えることが重要なのであり、どっちが良くてどっちが悪いという問題ではありません。
(参考:マイナビニュース 2016/2/23「猫にマタタビを与えるときに注意すべきことを獣医師が解説 」著者:獣医師 山本宗伸)(参考:AVMA.Crazy for catnip)
マタタビとキャットニップの上手な取り入れ方
マタタビもキャットニップも、猫に優れた効果をもたらしてくれる魅力的な植物。愛猫のQOLアップのために、普段の暮らしの中に上手に取り入れたいアイテムです。ただし、3ヶ月未満の幼猫に与えてはいけません。
また、猫の中にはマタタビやキャットニップに反応を示さない子もいます。
それは遺伝的な要因もあるようですので、無理に与える必要はありません。全く反応を示さないのであれば、与えてもあまり意味がないからです。ですが、マタタビやキャットニップを与えてみて、うっとりと幸せそうな反応を示すようであれば、ストレスや運動不足の解消、アンチエイジングのためにも普段の暮らしの中に上手に取り入れたいものです。
マタタビは一度に与える適量が0.5gから1g程度とされています。1日あたりの適量は1g以内を目安にすると良いでしょう。粉末などを舐めさせると摂取する量も多くなりがちです。
心配なときは、直接マタタビの実や枝、粉末を与えるのではなく、マタタビの粉末や実などが入ったおもちゃを与えるのをオススメします。キャットニップに関しても同様です。
おもちゃなら、直接舐めたり噛んだりして成分を摂取するのではなく、香りほどよく嗅いでうっとりできる程度なので安心です。また、おもちゃを転がしたり噛んだりしながら遊べるので、ストレスを解消し、運動不足になるのも防げて一石二鳥です。
おもちゃを通して間接的に与えることで、マタタビやキャットニップを与えすぎてしまうことがなく、遊ぶことで得られる効果も期待できるため賢く取り入れることができるのです。
まとめ
いかがでしたか?
マタタビもキャットニップも、双方に依存性はないものの、両方ともに神経作用物質が成分として含まれている植物であることから、大量に与えることは避け、愛猫の体調や様子を見ながら与えるべきということに変わりはありません。
人の場合、お酒の飲みや甘いものの食べ過ぎは体に毒なのと同じです。適量と適度を心がければ、もたらす効果を最大限に活かすことができます。
古くから欧米ではハーブとして、そして東洋では漢方薬として日常に上手に取り入れ、不調を取り除き快適に暮らす知恵を持って役立ててきました。
さまざまな効能をもたらすと知りつつ遠ざけてしまっては勿体無い植物です。上手に日常に取り入れて、愛猫のQOLのために賢く活かせる飼い主になりたいですね。
ぜひ、有効活用してみてください。
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